"The hermitage of the speculation" 「何故か、考えさせられ、そして、安堵し癒されるのだ・・。」 そんなページを目指したい・・・・・・。
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貴方は人目・ >番目のお客様です。 ようこそ! |
「大漁」 朝焼小焼だ 大漁だ 大羽鰯(いわし)の 大漁だ 浜は祭りのようだけど 海のなかでは 何万の 鰯のとむらい するだろう。 |
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「はちと神さま」 はちはお花の中に、 お花はお庭の中に、 お庭は土べいのなかに、 土べいは町のなかに、 町は日本のなかに、 日本は世界のなかに、 世界は神様の中に。 そうして、そうして、神さまは、 小ちゃなはちのなかに。 |
「露」 誰にもいわずにおきましょう。 朝のお庭のすみっこで、 花がほろりと泣いたこと。 もしも噂がひろがって、 蜂のお耳にはいったら、 悪いことでもしたように、 密をかえしに行くでしょう。 |
「はすとにわとり」 どろのなかから はすがさく。 それをするのは はすじゃない。 たまごのなかから とりが出る。 それをするのは とりじゃない。 それにわたしは 気がついた。 それもわたしの せいじゃない。 |
「鯨法会」 鯨法会は春のくれ、 海に飛魚(とびうお)採(と)れるころ。 浜のお寺で鳴る鐘が、 ゆれて水面をわたるとき、 村の漁師が羽織(はおり)り着て、 浜のお寺へいそぐとき、 沖で鯨(くじら)の子がひとり、 その鳴る鐘をききながら、 死んだ父さま、母さまを、 こいし、こいしと泣いてます。 海のおもてを、鐘の音は、 海のどこまでひびくやら。 |
「こぶとり」 正直爺さんこぶがなく、 なんだか寂しくなりました。 意地悪爺さんこぶがふえ、 毎日わいわい泣いてます。 正直爺さんお見舞いだ、 わたしのこぶがついたとは、 やれやれ、ほんとにお気の毒、 も一度一しょにまいりましょ。 山から出てきた二人ずれ、 正直爺さんこぶ一つ、 意地悪爺さんこぶ一つ、 二人でにこにこ笑ってた。 |
「星とたんぽぽ」 青いお空の底ふかく、 海の小石のそのように、 夜がくるまで沈んでる、 昼のお星は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。 散ってすがれたたんぽぽの、 瓦(かわら)のすきに、だァまって、 春のくるまでかくれてる、 つよいその根は眼にみえぬ。 見えぬけれどもあるんだよ、 見えぬものでもあるんだよ。 |
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「明るいほうへ」 明るいほうへ 明るいほうへ。 一つの葉でも 陽の洩れるとこへ。 やぶかげの草は。 明るいほうへ 明るいほうへ。 はねこげよと 灯のあるとこへ。 夜とぶ虫は。 明るいほうへ 明るいほうへ。 一分もひろく 日のさすとこへ。 都会(まち)に住む子らは。 |
「誰が ほんとを」 誰がほんとをいうでしょう。 私のことを、わたしに、 よその小母さんは ほめたけど、 なんだか すこうし笑ってた。 誰がほんとをいうでしょう。 花にきいたら 首ふった。 それもそのはず、花たちは、 みんな あんなにきれいだもの。 誰がほんとをいうでしょう。 小鳥にきいたら逃げちゃった。 きっといけないことなのよ、 だから、言わずに飛んだのよ。 誰がほんとをいうでしょう。 かあさんにきくのは、おかしいし、 (わたしは、かわいい、いい子なの、 それとも、おかしなおかおなの。) 誰がほんとをいうでしょう、 わたしのことを わたしに。 |
芝生が 両手を広げて 高く 高く 太陽に向かって すこしでも 高く 高く と 伸びようとしているように 生きものは すべて 明るさを 希求する 意味がわからないが ヒトは 「出世」することが それだと 考えている 何だろう 「出世」 ・・・・ 管理人 |
「真実一路」 ? 本当のこと ・・・ 誰が知っているだろうか? 自分が 自分のことを 知ろうとして 結局 解らないのに・・・ わかるだろうか 「教えて・」と言われて 本当のことを 伝えられるだろうか?? 本当のこと は 誰にもわからないかも ・・・ ?! ・・・・ 管理人 |
「わらい」 それはきれいな薔薇(ばら)いろで、 芥子(けし)つぶよりか ちいさくて、 こぼれて 土に落ちたとき、 ぱっと 花火がはじけるように、 おおきな 花がひらくのよ。 もしも 涙がこぼれるように、 こんな笑いが こぼれたら、 どんなにどんなに、きれいでしょう。 |
「さびしいとき」 私がさびしいときに、 よその人は知らないの。 私がさびしいときに、 お友だちは笑うの。 私がさびしいときに、 お母さんはやさしいの。 私がさびしいときに、 仏さまはさびしいの。 |
「はだし」 土がくろくて、濡れていて、 はだしの足がきれいだな。 名まえも知らぬ ねえさんが、 鼻緒(はなお)は すげてくれたけど。 |
「私と小鳥と鈴と」 私が 両手をひろげても、 お空はちっとも飛べないが、 飛べる小鳥は 私のように、 地面(じべた)を速く走れない。 私がからだをゆすっても、 きれいな音は出ないけど、 あの鳴る鈴は 私のように、 たくさん唄は知らないよ。 鈴と、小鳥と、それから 私、 みんなちがって みんないい。 |
「こだまでしょうか」 「遊(あす)ぼう」っていうと、 「遊ぼう」っていう。 「馬鹿」っていうと、 「馬鹿」っていう。 「もう遊ばない」っていうと、 「遊ばない」っていう。 「ごめんね」っていうと、 「ごめんね」っていう。 こだまでしょうか、 いいえ誰でも。 |
「お勘定(かんじょう)」 空には雲がいま二つ、 路(みち)には人がいま五人。 ここから学校へゆくまでは、 五百六十七足あって、 電信柱が九本ある。 私の箱のなんきん玉は、 二百三十あったけど、 七つはころげてなくなった。 夜のお空のあの星は、 千と三百五十まで、 かぞえたばかし、まだ知らぬ。 私は勘定が大(だァい)好き。 なんでも、勘定するよ。 |
「王子山」 公園になるので植えられた、 桜はみんな枯れたけど、 伐(き)られた雑木(ぞうき)の切株にゃ、 みんな芽が出た、芽が伸びた。 木(こ)の間(ま)に光る銀の海、 わたしの町はそのなかに、 竜宮(りゅぐう)みたいに浮かんでる。 銀の瓦と石垣と、 夢のようにも、霞(かす)んでる。 王子山から町見れば、 わたしは町が好きになる。 干鰮(ほしか)のにおいもここへは来ない、 わかい芽立ちの香がするばかり。 |
「お魚」 海のお魚はかわいそう。 お米は人につくられる、 牛は牧場で飼われてる、 鯉もお池で麩(ふ)をもらう。 けれども海のお魚は なんにも世話にならないし いたずら一つしないのに こうしてわたしに食べられる。 ほんとに魚はかわいそう。 |
「土と草」 母さん知らぬ 草の子を、 なん千万の 草の子を、 土はひとりで 育てます。 草があおあお 茂ったら、 土はかくれて しまうのに。 |
「雨のあと」 日かげの葉っぱは 泣きだした、 ほろりほろりと 泣いている。 日向(ひなた)の葉っぱは 笑いだす、 なみだのあとが もう乾(かわ)く。 日かげの葉っぱの 泣きむしに、 たれか、ハンカチ 貸してやれ。 |
☆ 仏のように澄んだ童心がある ☆ | ・・・・「言志耋録」 佐藤一斎 著 に、 こんな一節があった。 |
51 幼い時は本心なり 人為童子時。全然本心。及稍長。私心稍生。既成立。則更夾帯世習。而本心殆亡。故為此学者。当能斬然□(衣偏に去)キョ(さる)此世習。以復本心。是為要。言志四録(四) 言志耋録 佐藤一斎 著 |
【訳文】
人は幼い時は完全に真心をもっている。【付記】 本文と同一趣旨の道歌を紹介する。 「おさな子が 次第次第に 智慧づきて ほとけに遠く なるぞ悲しき」 川上正光訳注 |
「土」 こッつんこッつん ぶたれる土は よい畠になって よい麦生むよ。 朝から晩まで 踏まれる土は よい路になって 車を通すよ。 打たぬ土は 踏まれぬ土は いらぬ土か。 いえいえそれは 名のない草の お宿をするよ。 |
「ぬかるみ」 この裏まちの ぬかるみに 青いお空が ありました。 とおく、とおく、 うつくしく、 澄んだお空が ありました。 この裏まちの ぬかるみは、 深いお空で ありました。 |
☆ 覚 和歌子の詩 ☆ | |
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